混成軌道(sp3混成軌道、sp2混成軌道、sp混成軌道)のおさらい
- 混成とは、2s軌道と2p軌道が混ざり合って、まったく新しい等価な(同じエネルギーレベルの)軌道ができること。
- 混成軌道には、σ電子とローンペア(非共有電子対)が入り、π電子は入らない。
L殻にある2s軌道、2px軌道、2py軌道、2pz軌道の4個の軌道が混じり合い作られる4個の混成軌道。
sp3混成軌道は正四面体構造をとっており、結合角はすべて109.5°となっている。
(2).sp2混成軌道
L殻にある2s軌道、2px軌道、2py軌道の3個の軌道が混じり合い作られる3個の混成軌道。2pz軌道は空の状態である。
sp2混成軌道は平面三角形構造をとっており、結合角は120°となっている。
(3).sp混成軌道
L殻にある2s軌道、2px軌道の2個の軌道が混じり合い作られる2個の混成軌道。2py軌道、2pz軌道は空の状態である。
sp混成軌道は直線構造をとっており、結合角は180°となっている。
(形式)電荷(+、-)の意味
原子は原子核と電子からなり、原子核は陽子と中性子からなる。原子番号は原子核に含まれる陽子の数のことである。形式電荷とは、その原子が所有している電子数が本来の価電子数といくつ違っているかを示す値である。分子中の形式電荷の総和はその分子の電荷に等しい。
先ほど述べた混成軌道と関連付けて例を挙げていく。
例1.プロトン
陽子数は1=正電荷は+1、電子配置1s0より電子の数0個=負電荷は0、よって正味の電荷は+1
例2.ヒドロニウムイオン
中心にある酸素原子は陽子数8=正電荷は+8、電子配置は1s22s22p3より電子の数7個=負電荷-7、よって正味の電荷+1
2s22p3軌道で混成しておりsp3混成軌道になるため正四面体構造である。水素原子との結合に使われていない軌道には、酸素原子の孤立電子対(ローンペア)が入っている。
MEMO:オキソニウムイオンとは正電荷を持つ3価の酸素原子を含む分子の一般名(R3O+)
例3.アンモニウムイオン
2s2軌道の電子が励起することにより2p軌道へ遷移し、sp3混成軌道になるため正四面体構造である。
例4.メ チルカチオン
中心にある炭素原子は陽子数6=正電荷+6、電子配置は1s22s22p1より電子の数5個=負電荷-5、よって正味の電荷+1
例5.メチルアニオン
中心にある炭素原子は陽子数6=正電荷+6、電子配置は1s22s22p3より電子の数7個=負電荷-7、よって正味の電荷-1
2s22p3軌道で混成しておりsp3混成軌道になるため正四面体構造である。水素原子との結合に使われていない軌道には、炭素原子の孤立電子対(ローンペア)が入っている。
例6.メトキシドイオン
酸素原子は陽子数8=正電荷は+8、電子配置は1s22s22p5より電子の数9個=負電荷-9、よって正味の電荷-1
2s22p5軌道で混成しておりsp3混成軌道になる。
↑こんな感じでやっていきたいと思います。最初から有機化学ⅢということでⅠ(最低限の基礎知識?)とⅡ(化学反応と反応機構)でやったことはあまり細かくは触れないつもりです。教科書はソロモンの有機化学です。間違ってたらごめんなさい。有機化学は苦手なので極力不備のないように気をつけます。